毒物劇物取扱者
おはこんばんちは。今日はあまり知られていない資格を紹介していきます。
二年ほど前に取得した毒物劇物取扱者についてです。
取得するべき人は非常に限られていますが、化学系に精通している方には是非一度目を通していただきたい内容です。
必ず薬物の使用、保管などで役立ってきます。
どんな資格?
種類は3つあり、対象職位がそれぞれ異なります。
毒物劇物取扱責任者とは、毒物または劇物の製造業、輸入業、販売業において、毒物や劇物による保健衛生上の危害防止に当たる先任者のことです。
毒物劇物を取扱う施設では毒物劇物取扱主任者を必ず設置し、届出をしておく義務があり、製造業の工場や、研究所では必要になってきます。
つまり毒物劇物取扱責任者がいれば、化学系製造業の工場や研究所などで、該当薬品を使う際に、使用方法や保管方法など法的な基準について熟知することができ、安全優先に使用することができます。
また①薬剤師②工業高等学校またはこれと同等以上の学校で応用化学に関する学科を修了している場合、すでに毒物劇物取扱主任者の資格があるので、受験する必要はありません。
資格の詳細
種類は3つあり、取り扱う毒物または劇物に応じて、異なります。
①一般毒物劇物取扱者試験・・・全ての毒物・劇物を取り扱う責任者
②農業用品目毒物劇物取扱者試験・・・農業品目の毒物・劇物を取り扱う責任者
③特定品目毒物劇物取扱者試験・・・特定品目の毒物・劇物を取り扱う責任者
なお、②と③は合格しても製造業の毒物劇物取扱責任者にはなれないので注意してください。
次に該当する場合、合格しても毒物劇物取扱責任者になれないので確認を必ずしてください。
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①18歳未満の者
②心身の障害により毒物劇物取扱者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者
③麻薬、大麻、アヘンまたは覚せい剤の中毒者
④毒物もしくは劇物または薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、または執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
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試験の詳細
試験科目は、試験の種別ごとに筆記試験と実地試験に分かれています。
科目による最大の違いは出題される毒物及び劇物の種類です。
ピンクのラインが入っている項目については、試験種類により出題される毒物及び劇物の種類が異なります。
試験形式事態は変わらないので安心してください。
【筆記試験】
①毒物及び劇物に関する法規
②基礎科学
③毒物及び劇物の性質及び貯蔵その他取り扱い方法
【実地試験】
①毒物及び劇物の識別及び取扱方法
実地試験は、ほとんどの都道府県が筆記試験形式で実施しています。
合格基準は以下の通りです。
下記の①のみ、もしくは①、②の双方の条件を満たすことで合格。ただし都道府県により異なります。
① 総得点について、満点の60%以上の得点率
② 各科目40%以上の得点率
ざっくりと項目ごとの内容を見ていきます。
非常に区分が細かいので、覚えるのに時間がかかります。ただし基礎化学等は高校レベルの出題が多いので、しっかり理解すれば応用で解けるようになると思います。
(私の)勉強の進め方
最後に私が勉強していて試験に役立ちそうなことを書いておきたいと思います。
合格率に関してですが、調べた結果の以下の通りです。
①一般毒物劇物取扱者試験 60%前後
②農業用品目毒物劇物取扱者試験 60%前後
③特定品目毒物劇物取扱者試験 60%前後
かなりざっくりした数値ですが、というのも都道府県別で試験を行っている上に、受験者が非常に少ないため、かなり合格率が変動します。
しかし出題内容は変わらないので振り回されずにしっかり準備をしました。
●準備
まず初めに医師の診断書を準備しましょう。
県によってはこれがないと受験できません。診療施設や診療科に伺い、以下の内容を証明する診断書を作成してもらいましょう。
〇精神の機能の障がいにより毒物劇物取扱責任者の業務を適正に行うに当たっ
て必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者ではないこと
○ 麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者ではなこと
○ 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その
執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過してい
ない者ではないこと
〇18歳未満でないこと
●法規・基礎化学
最初に書いておきますが、残念ながら基本的に覚える以外の選択肢はありませんでした。
大体2か月ほどかけて問題集+暗記をメインに行いました。過去問はあくまで試験の形式を確認するぐらいで、ひたすら暗記してました。
なので、注意して重点的に覚えた項目を羅列していきます。
〇毒物及び劇物取締法の条文の1条~16条のうちから穴埋めが必ず2問程度出題されます。必ず覚えましょう。
〇計算問題も必ず出題されるので、モル濃度、中和滴定、飽和水溶液濃度の算出は要チェック
〇官能基の種類も高確率で出題されるので覚えましょう。
●性質
申し訳ありませんが、これもあまり傾向が掴めず、最後はほとんど覚えることで対処しました。
こちらも同様に注意して重点的に覚えた項目を羅列していきます。
〇鑑別は出題されやすく、フェーリング反応や何色の蒸気が出るかなど特徴的なものから順に覚えていくとやりやすいです。
〇製剤が毒物あるいは劇物から除外される濃度は出題されたりされなかったりですが、出題されると点数配分が多いので、覚えておくと良いです。全部覚えるのは難しいのでこちらも問題集などで傾向が多いとされている過酸化水素水、フェノールなど劇物→普通になる薬品から覚えていくと良いと思います。
〇中毒症状及びその対処は高確率で出題されます。メタノール、ヒ素、クロロホルムなどは毎回出題されるので、それを足掛かりに選択肢を削っていくとやりやすいと思います。
〇物質の常温常圧における性状は割とランダムですが、芳香族系が出ることが多いので、アニリン、キシレンなどは外さずに、あとはどこまでいけるか覚えきれるか・・・といった感じでした。
最後にこちらの本を中心に勉強しました。かなり項目ごとに分かれており参考になります。ぜひ使ってみてください。
最後に
あくまでこれは私の独断と偏見の成分が多いです。
一部引用したものもありますが、参考程度です。
また何より大切なのは資格を取得して終わらせることではなく、資格取得を足掛かりにして更に理解を深めることだと思います。
長くなりましたが最後まで目を通してくださった方々に感謝します。